アイルランドのドラァグ・クイーン二人が運営するトーク中心のYouTubeチャンネル「FriendsOfDorothy」に出演したアジャは、RPDR AS3のスナッチゲームで演じた伝説的なパージェント・コンテスタント、そしてHouse of LaBeijaのマザーでもあったクリスタル・ラベイジャについて語りました。
5 things to know about ballroom icon Crystal LaBeija https://t.co/Qb9vz8O60z pic.twitter.com/ED98bglXxI
— billboard (@billboard) 2018年2月17日
抜粋動画がアップされていたので、とりあえずこれだけ観ました。フルインタビューは1時間ありますので…
クリスタル・ラベイジャはドキュメンタリー映画『The Queen』で知られている
明らかに自分の方が優れているのに、肌の色が明るい出場者がパージェントのウィナーになってしまう…1968年公開のドキュメンタリー映画『The Queen』で捉えたのは、そんなクリスタル・ラベイジャの不満が爆発したシーン。AS3でクリスタルを演じたアジャは上手くその怒りを表現していました。映画を観ると本当にそっくりです。
動画でも絶賛されていましたが、ボーナス・クリップのアジャは本人が憑依しているような入り込み方。なりきっていて素晴らしいです。
作品を観ないと登場人物名が分からないと思いますので、以下軽く説明します。
フローレス・サブリナ(Flawless Sabrina)
Directed by Frank Simon, the film came to be largely thanks to Jack Doroshow, aka Miss Flawless Sabrina. It showed the performer at the height of her power, a queen amongst queens, who ran an operation of about 100 people that put on as many as 50 pageants per year across America pic.twitter.com/MyCBeqUmPY
— NetflixFilm (@NetflixFilm) 2020年1月23日
ニューヨークの伝説的ドラァグ・クイーン。ハーロウ、クリスタルが出場した1967年度の「Miss All-America Camp Beauty Contest」で司会者を務める。
レイチェル・ハーロウ(Rachel Harlow)
クリスタルらとトップ5に残り、最終的にウィナーとなる。しかし、ハーロウの優勝に納得がいかないクリスタルやほかのコンテスタントに抗議されてしまう。サブリナの弟子のような存在。
クリスタル・ラベイジャ(Crystal LaBeija)
As the final scene of the film — and of that segment of Crystal’s drag career — she lets loose a blistering read, first to the camera, and then to Miss Flawless Sabrina herself. It’s a sight to behold. pic.twitter.com/NsgwIx1FWO
— NetflixFilm (@NetflixFilm) 2020年1月23日
コンテストではトップ4という結果に終わってしまう。ハーロウよりも自分の方が美しいのに…と結果に納得ができない。「自分と繋がりがあるハーロウを優遇した」とサブリナを非難し、「I sue the bitch(あの女を訴える)」とコンテスト終了後に激しく抗議する。
アジャの語るクリスタル・ラベイジャ
※訳が正確では無い可能性があります。
・ブラックのトランスジェンダー女性という下に見られやすい、差別されやすい立場にとってボールルームは安全な空間だった。でも、パージェントに場を移すと、いきなり「関係者の友達」などの理由で実力が十分ではない出場者に負かされてしまう。そんな現実をクリスタルは良く知っていた。
・世間がトランス女性をどう扱うかが本当に嫌いだ。トランスの人々は世界へのギフトだ。アートなど色んな分野で道を切り開いてきた。なのに相応の称賛を得られていない。
・トランス女性は自分をインスパイアしてきた。というのも1年ほど自分はトランス女性として過ごしてきたからだ。性別移行のためにホルモン補充療法(HRT)はしなかった。なぜなら、「ホルモンはガンになる!」と言い張る母親と喧嘩することになったから。今はノンバイナリーとして自分の体を居心地よく感じている。
・スナッチゲームで演じたキャラクターはクリスタル本人というよりも、自分をインスパイアしてきた全てのブラックのトランス女性へのオマージュ。
・スナッチゲームはウィナーになった気でいた。全てを注ぎ込んだのにウィナーになれなかったし、カムバックもなかった。
・スタジオ54のルックは制作側が持ってきた画像の通りにコピーしたものなのに、「それはスタジオ54じゃない」とかジャッジに言われて…(理不尽)
本家ドラァグ・レースの制作スタンスが気になる
Candy Warhol(キャンディ・ウォーホル…動画で右側の方)が強めに「AS3のアジャは不遇だった」と言っていて同感です…!
後、「US版(本家)ドラァグ・レースは番組のストーリーラインが制作側によってはっきりと操作されている。クィア・アーティストが集まっている、それだけでいいのにストーリーラインを操作しようとする。今年のUKのドラァグ・レース(S2)はそういった介入が無く、UK独自の制作を許可されていたから上手くいった。」と話していて、そうそうそう…!!と頷き過ぎて首がもげそうになりました。
シリーズを重ねて来て、こちらの目が肥えたのかは分かりませんが、なんだか上手くいっていないなとS11くらいから思っていたり。(上手くいっているシリーズもありますが)ASは特に顕著だったりして…アサシン・システムなど色々と試行錯誤をしているのは伝わるんですが…
ストーリーラインを操作しなくても興味深いものは作れる…ドキュメンタリー映画ではありますが「The Queen」はまさにそれを体現している作品だったりします。今だにヘテロセクシャル中心の世の中において、クィアの人々がメインの番組…それだけで意義がある、それだけでドラマが…そして変化が多少なりともあるんじゃないかな…などと思ったりしました。キャンディ・ウォーホルが言いたいのはこういうことかどうかは分かりませんが。
そして、リアリティ番組って加減が難しい…もう今や量産されて飽和状態ですし、「より過激に!」というスタンスが世にウケなくなっているような気もするので何を売りにしていくか、見せ場にしていくかの選択を誤ると大変なことに…と番組制作したこともないのに色々言ってますが…AS6はどうなるんだろう…