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【感想】『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』【映画】

70年代から活躍し続けるロック・ミュージシャン ジョーン・ジェットドキュメンタリー映画ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』を観に行ってきました。

Bad Reputation [DVD]

 

ジョーンの長年のファンであるセイジさん(ギターウルフ)のトークショー付きでした。簡単な感想とレポです。

 

 

 『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』

 

私自身、ジョーン・ジェット(Joan Jett)といえば代表曲『I Love Rock 'n Roll』しか知らないのですが、今だに男性社会なロック界で長年活躍するのって本当に大変だと思うんですよ…もうその時点でリスペクトしかない…

 

そもそも身を持って実感してることなんですが、女性が「ロックが好き」って言った時のまともに受け止められなさ、男性の比では無いです。「付き合ってる男の影響だろう」とか「顔が良ければいいんだろう」とか、クラシック・ロックを聴いていれば「あんな爺さん*1のどこがいいんだ」とか…心ないことを言われたこともありましたね。今は良くなっているのかもしれない。そうであってほしいな…!そうなれ…!

 

とにかく、そういった自分の体験とかも重ねて観てしまいましたし、フェミニズムという観点、そして彼女のクィアネスについてもさりげなく触れていますし、必見の内容です。

 

プロローグ

 

10代で両親からギターを買ってもらったジョーンはロックにのめり込みます。比較的、進歩的な家庭だったようでジョーンは宇宙飛行士や考古学者、なれると思えばなんにでもなれると思って育っていた。しかし、本格的にバンド活動を始めると、性差別という大きな壁が彼女の前に立ちはだかります。

 

The Runaways

The Runaways時代は、バンドの伝記映画『The Runaways』とリンクするところもあってなるほどと思いましたね。

ランナウェイズ (字幕版)

最近Gyaoで無料配信していたので観ていたんですが。こちらはボーカルのシェリーの自伝が元なので、少し視点が違っていたりもします。

 

70年代の文化に詳しくないんですが、ウーマンリブなどフェミニズム運動が盛んだったにも関わらず、なお女性がロックするのは難しかったという…

 

最初はロックのまねごとをしているだけど思われている時は「かわいいね」という反応だったのに、自分達が真剣に音楽に取り組んでいると分かると「アバズレ」などと罵倒されるようになったとジョーンは語ります。時にはライブ中に重いバッテリーを投げられて肋骨が折れることも…(すさまじい) 

 

来日時、日本女性ファンから熱烈な歓迎を受けたジョーンとバンドメンバー。その状況を見てジョーンは「日本の女性は2流扱いされているんだろう。だから、私達を見て可能性を感じたのかもしれない」と言っていて鋭いし、実際そうなんです…という…

 

だってアルバム『The Runaways』の当時の邦題は『悩殺爆弾〜禁断のロックン・ロール・クイーン』ですからね…酷すぎて笑ってしまいます。

 

結局、篠山紀信シェリーが単独グラビア写真を撮られたことでバンド内に亀裂が走ってしまい、シェリーが脱退。(シェリーは自分の独断ではなく、キムが取ってきた仕事だったと話しています…)来日しなかったら良かったんじゃないのかってちょっと思ってしまいます…ああ…日本…

 

音楽性の違いでメンバーから孤立したジョーンはどん底に。そんな時、クリッシー・ハインド(the Pretenders)が彼女を励ましていたという…良い話だなと思いました。

 

バンドで一番の問題児キム・フォウリー

 

The Runawaysのプロデューサー、キム・フォウリーの「男が女性化していっていたシーンが最終的にたどり着いたのは本物の女」という理論になるほどなーという…70年代をざっくり言うと、グラム・ロックが興隆しており、パンク・ロックが後期に登場するという流れです。キムは流行りになりそうなものを嗅ぎつける才覚はあったんだろうなと思います。イギー・ポップから「誘われたけど一緒に組みたくなかった」とか言われてて笑いました。

ケニー・ラグナとの出会い~ソロでの成功

バブルガムという一見パンクとは縁の無さそうなジャンルで活躍していたケニー。しかし、ジョーンと組むやその相性の良さを発揮します。

 

母親がゴリゴリのフェミニストだったので、女性がロックをすることに偏見は無く「すぐにジョーンは売れるだろう」と思っていたケニーですが、「ガラスの天井」に行きあたって驚きます。曲は良いはずなのに契約を結んでくれるレコード会社はありません。そのため、娘の学資に貯めていたお金でレーベルを設立、ライブ会場でレコードを売るなどDIY精神で道を切り開き見事Joan Jett & the Blackheartsとして成功。

 

ケニーとジョーンの関係性も良いんですよね。二人三脚で…といった感じですが友情、家族愛…それ以上に相棒感があって。間違いなく彼との出会いで事態が好転したんだと思います。

 

TV番組のインタビューで「結婚したい?」「子供を持ちたい?」と言われるジョーン。これ、男性ミュージシャンはあんまり尋ねられない質問では…(ボーイバンドはあるかもしれない)当然のように質問してくる女性インタビュアーが怖い。最近はテイラーやアリアナなど女性ミュージシャンはそういう質問ははねつけていますが…

  

Crimson and Clover

映画『The Runaways』の最後で、音楽業界から身を引いたシェリーがラジオから流れるジョーンの曲『Crimson and Clover』を聴いてハッとする…というシーンがあるのですが…

 

歌詞は女の子への気持ちを歌っている内容で…というのに私は間抜けにも映画を見ている時は気づかなくてですね…映画『The Runaways』はジョーンとシェリーの関係性も描いているので曲にも意味があったんだなと今更腑に落ちました。

 

ジョーンは自身のセクシャリティーをはっきりと言及したことは無いんですが「こんなにも分かりやすいのに言う必要ある?」というスタンスらしく…クィアネスを現すシンボルのアクセサリーをいつも身に着けているなどオープンなようです。

 

LGBTQコミュニティーへの支援も惜しまない彼女のエピソードとして、Laura Jane Grace(Against Me!)トランスジェンダーであるとカミングアウトした後、すぐジョーンが連絡をくれたと話していました。

 

ここで一つ気になってしまったのが、Lauraの一人称が日本語字幕だと「」になっていたことですね…Lauraが自分の代名詞について話しているソースが見つけられなかったのですがやはり、女性として生活しているということなので「私」などが良いんじゃないかなと思いました。

 

英語だと一人称は問題にならないので、日本語において発生する問題ですよね。折角「私」という性別不問な一人称があるので使っていきたいところ…!

www.mtv.com

 

ロック・レジェンドへ

90年代にフェミニストパンクムーブメントRiot Grrrlが興隆すると、ジョーンは改めて先駆者としてリスペクトされることとなります。

 

Nirvanaとパフォしてたけど、あれ女性しかゲストにしてないのかなセント・ヴィンセントもボーカル取ってた気がするんだけど…カートってフェミストだったそうなので(他メンもそうかもしれない)多分そういう配慮があったんじゃないかな、抜擢されにくい女性に機会を与えるっていう…

 

とかぶつくさ言っていたら、推論当たっていたようでちょっと嬉しかったです。カート・コバーンRiot Grrrlの中心だったBikini KillのドラマーTobi Vailと付き合っていたこともあるそうで。『Smells Like Teen Spirit』はBikini KillのKathleen Hannaが壁に書いたことが由来だとか。

 

そんな彼の意思を尊重してNirvanaの『ロックの殿堂』パフォーマンスでは、ジョーンの他にキム・ゴードン(ソニック・ユース)、セイント・ヴィンセント、ロードなど女性ミュージシャンをボーカルに迎えてのパフォーマンスになったようです。

 

medium.com

www.rollingstone.com

 

Nirvanaのクリスが「どうして彼女が先に殿堂入りしていないのか不思議だ」と言った翌年にやっと殿堂入りなので、ガラスの天井はまだまだ存在しているんだなという胸くそ悪さもありますが今後ロック史に名が残れば良いなと思います。というか残ってくれ…

 

 

セイジさんのミニトークショー

上映後、ギターウルフのセイジさんが登壇してのミニトークショーがありました。要約ですが、内容を載せておきます。

ランナウェイズとの出会い

 父親が読むちょっとエッチな雑誌にThe Runawaysが載っており、性的なものと思い惹かれていた。レコード屋でこっそりジャケットを見ると、5人の外人のねーちゃんがこっちにメンチを切っている…!当時はピンクレディーキャンディーズが流行っていて、女性ミュージシャンはニコニコしているものだと思っていたからか、衝撃だった。

ベスト盤選曲

筋金入りのファンであるセイジさんが選曲したことでマニアックなものになってしまい、「そんなに売れなかった気がする…」とのこと。ジャケ写のジョーングッズはセイジさんの持っているコレクションを映したもの。現在は廃盤。

ジェット・ロック~グレイテスト・ヒッツ・オブ・ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ

ジェット・ロック~グレイテスト・ヒッツ・オブ・ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ

 

来日公演で…


アイドルの前座(ゲスト扱いだったが)で武道館出演したジョーン。(あの扱いには腹が立った。騙されていたのでは?とのこと)その後の川崎クラブチッタでの3Days。同じ格好、同じ位置でずっと見ていたセイジさんとバンドメンバーのビリーさん。セイジさんに向かって指を指して、手を振ってくれたジョーン。「今の見たかビリー!!」「いやあれは(あっちいけと中指立てのジェスチャー)こうだったんじゃない?」と当意即妙なビリーの返しに大爆笑した。故人であるビリーとの楽しい思い出の一つでもある。

 

出待ちして握手してもらう

出待ちしたけれど、一緒に行った弟の方が先に握手してもらうという事態に。まごまごしているうちにタクシーに乗って行ってしまったジョーン…

頑張ってタクシーを追いかけて、デパートに入る寸前になんとか握手してもらった。タンクトップを着ていたけど肩が白い消しゴムみたいに見え、「相当鍛えてるな…かっこいい」と思った。

 

再来日でサポートに


革ジャンの後ろにサインしてもらってすごく嬉しかった。しかし、「To Seiji」の部分が大きく描かれていたため、バイクなどに乗ると後続車から「To Seiji」の文字を読まれるのが少し嫌だった。

 

USツアーの時、ディナーに行った


サポートした時に名刺をくれたジョーン。「NYに来たら遊びに来なよ」と言われていた。USツアーの時、NYでライブした日に電話して事務所に訪れた。急な訪問だったのに、ケニー・ラグナが面会してくれた。その晩にジョーンとケニーやビリーさんを含めて一緒にディナーに行くことに…!

しかし、自分達の前ではクールなロックスターのイメージを崩さなかったジョーンは、笑顔も見せなかった。「セイジの英語は分からん」と言われて、何だよって思ったけど(率直な)ジョーンらしいのかもしれないとも思った。

 

CBGBのライブ見に行きてくれた

NYパンクの聖地、CBGBでのライブをすることになったギターウルフ当日、ジョーン、ケニ、ブラック・ハーツのメンバーが揃って観に来てくれた。本番前にジョーンが「頑張ってね!」と声をかけてくれて嬉しかったけど、突然だったので心の準備が~とドキドキしながら激励を受けた。


サマソニで久しぶりに見た


客もまばらで雨も降っているようなロケーションの中観に行った。フッとステージに現れたジョーンは70年代のロックのままそこに立っていた。それを見て、「俺も(ロックの)化石になりてぇ〜!!」と強烈に思った。

 

オンラインフェスに参加してくれた

 


ギターウルフ主催による野外音楽フェス 『シマネジェットフェス』。2020年はオンラインでの開催だったそうですが、ダメ元でオファーしたところ出演を快く了承してくれたとのことです。

 

面白い話ばかりでしたが、まだまだジョーンにまつわるエピソードはあるとのこと…自身のスタイルをJett Rockと称することもある熱狂的ファンのセイジさんならではの話が聴けて良かったです。貴重なお話でありがたかった…

 

セイジさんは「ロックンロール!!」と最後に叫んで退場されていました。