『POSE』シーズン2エピソード4"新しいカテゴリー"の感想です。
※ネタバレ注意!
キャンディに襲う悲劇
マドンナの「Vogue」が大ヒットするなか、その勢いに乗じてボールに参加しようとするキャンディ。でもヴォーギングが上手くないキャンディはプレイ・テルから追い出されてしまいます。
カテゴリーにリップシンクを入れようという話になった時にプレイ・テルが難色を示していたのは意外でしたが、当時のボールシーンでは一般的ではなかったのかもしれませんね。セリフから察するとダウンタウンの白人コミュニティでは主流だったのかな?
キャンディは得意なリップシンクをカテゴリーに入れることを求めますがNOと言われてしまいます。すぐに凶器を持ち出す物騒なキャンディに笑ってしまいましたが、そんな彼女に予期せぬ悲劇が…
気性が激しいキャンディは鼻つまみ者ではありましたが、その死はコミュニティ内に衝撃を与えました。
ハウス・オブ・アバンダンスでずっと一緒だったブランカ、エンジェル、そしてプレイ・テルにゴースト状態で語りかけるキャンディ。
特に、プレイ・テルが「キャンディの勇敢さを妬んでいた」と認める場面は目頭が熱くなってしまいました…流石ビリー・ポーター…
ルルの反応は一番ショック受けてるだろうなという視聴者の心配を裏切るもので、笑ってしまいましたね。こういうオチになるのがこのドラマらしい気がします笑 大体二人セットだったのでルルは本当に寂しくなるでしょうね…
ちなみに、両親とキャンディの会話シーンは全てワンテイクだそうです。キャストやスタッフはみんな泣いていたとか。 最後のボールシーンも含めて名場面の多い回でしたね。
大切な人を失っても人生は続きます…キャンディの死で人生の尊さを実感したプレイ・テルはやっと自分の病気へと向き合って生きることを決意したようです。
ブランカもプレイ・テルも同じ病気を抱えているお互いの存在が支えになっているんだなとラストのシーンで感じました。それだけに、どちらかがもしいなくなってしまったら…なんて考えたくも無いですが…
実際にあった事件を元にしている?
今回のエピソードで思い出されるのは『Paris Is Burning / パリ、夜は眠らない。』に登場するヴィーナス・エクストラバガンザ。彼女も同じようなシチュエーションで殺害されています。
Today is International Trans Day of Remembrance, honoring lives lost in anti-trans violence.
— jeff chatterton (@jeffchatterton) 2016年11月21日
Venus Xtravaganza 1965-1988 pic.twitter.com/Q14gSH5D7p
また、ちょうどエピソード4の撮影後に、ハウス・オブ・エクストラバガンザの一員であるレイリーン・ポランコというトランス女性が独房でてんかん発作を起こし亡くなってしまうという事件が…
通常こういった重篤な発作症状が出る囚人は独房には入れないそうなのですが、適切な待遇が受けられなかったのではと疑問視されています。
現在のハウス・ファーザーであるホセ・エクストラバガンザはこのドラマのコンサルタントをしているそうなんですが、彼もとても悲しんでいたそうです。
偶然にしては悲しすぎる出来事ですが、現在もこういった出来事が絶えず起こっているのは本当に残念だなと思います…
参考
クレジットの言葉
同性愛者にも男にも女にも動物にも権利がある
我々が消耗品ではないと 何人 死ねば分かるのか?
-オクタヴィア・サンローラン
クレジットで引用されていたのは『Paris Is Burning / パリ、夜は眠らない。』に登場したオクタヴィア・サンローランの言葉。
90年代のボールシーンの動画をアップしているチャンネルOld School Ballroomが彼女の追悼動画をアップしていたので載せてみました。歌も上手かったみたいですね。
モデルを目指していたオクタヴィアでしたが、映画に出演し、これからという時にHIV陽性と診断されてしまいます。その後もHIV啓蒙やトランスジェンダーの権利のために戦い続け、2009年に癌でこの世を去りました。
“Heavenly Angel Octavia St Laurent Manolo Blahnik”と名乗っていたこともあるので、POSEの登場人物であるエンジェルのモデルと考えていいと思います。
今回のボールシーンですごかったのは、やはりこの鳥籠ルックですね…!
すっかり影響されて、「鳥飼いたい!」となっているパピがかわいすぎました笑
S1と比べると重たいシーンが多くなってきましたね。ボールの華やかさが一種の救いに感じられます。