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【RPDR】『WHY DRAG ?』【ドラァグ・クイーン写真集】

 元々、英語版が出版されていましたが、2020年2月21日国書刊行会から日本版が発売されることに!

 

 

著者、内容や掲載クイーン一覧、感想、購入方法などをまとめています。

 

 

ドラァグ・クイーン総勢135名を収録した超豪華オールカラー写真集

 

 

メジャーからローカルまで色んなクイーンが載っていて、さながらカタログ的な印象もあります。アメリカだけかと思ったら他国からも少し掲載してましたね。(ロンドン、ベルリン、シドニーなど)

 

もちろんフルカラー印刷された美麗なクイーン達の写真を見るのはとても楽しかったのですが、この本の良さはタイトルになっている"WHY DRAG?"の部分。

 

人によって"WHY DRAG?(どうしてドラァグをするの?)"の答えが全くバラバラで面白いし、ドラァグの奥深さに少し触れられる内容になっているかと思います。「キャラクターを演じるため」という人もいれば、「本当の自分を出すため」と言っている人もいて考え方やアプローチも全く違うことが分かりました。*1

 

特にニーナ・ウエスの長文は良かったです。ディヴィーナさんが最近のインタビューで言っていた通り、「ドラァグ・クイーンは政治的なものでもある」という意味を分かりやすく話しています。

 

ニーナのように熱く長文で語ってくれる人もいれば、一言・二言でクールに簡潔に答える人もいる。そのクイーン"らしさ"を感じてとても面白いです。

 

願わくば、クイーンだけでなくドラァグ・キングも今後このような本に掲載されるようになるといいなと思います。

 

著者:マグナス・ヘイスティングス

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マグナスの撮影したアラスカのポートレート

英国出身の写真家。
2000年頃から映画スターやドラァグスター、ポップスター、ポルノスターなど、様々なスターの写真の撮影を始め、GG、Glamour、US・Weekly、Cosmopolitan等の雑誌に紹介される。また、UKで何度か個展を開催し、2014年にはドラァグ・クイーンのポートレイトをニューヨークで展示、大成功を収める。これを契機として「Why Drag?」の旅を始める。現在、Queen誌のフォトディレクター。

引用元:WHY DRAG?|国書刊行会

以下に公式サイトやSNSのURLをまとめています。 

サイト インスタグラム①インスタグラム②ツイッター

シドニードラァグ・クイーンヴァニティ・フェアに衝撃を受けてドラァグに惹かれるようになったというマグナス。後に、同じくシドニーで活動していたコートニー・アクトとも懇意に。

この写真集の表紙はゆかりの深いコートニー、そして最終ページを飾るのはヴァニティ・フェアとなっています。

 

現在はGayFaceというシリーズを撮影中。

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DRUKにゲスト出演し、かなりのドラァグ・ファンとして有名なジェリ・ハリウェル(リトル・ミックス)も被写体に。いつかこのシリーズでも写真集が出るんでしょうか?サイトやインスタグラムではこれまでに撮った作品が見られます。もちろんRu Girlsもたくさん登場しますよ。

 

 上記の企画を写真集にまとめた『Rainbow Revolution』が発売されるそうです!日本語版の発売は未定。

序文:ボーイ・ジョージ

序文を書いたのはご存知、80年代のバンド「カルチャー・クラブ」のボーカルとして知られているボーイ・ジョージです。自身でも言っている通り、公式には完全なドラァグ・クイーンというよりもメイクや異性の服を身に纏ったニューロマンティック系のミュージシャンという立ち位置です。最近は自伝の映画化も進んでいるんだとか。

 

 

大ヒット曲「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」。

 

確かにドラァグへ影響を受けている&与えているし、LGBTQコミュニティに属する方ではあるんですが…最近トランスジェンダーへ用いられる代名詞について物議を醸し出す発言をしていまして… 

www.gaytimes.co.uk

 

伝統的に「彼が~」「彼女が~」などと表現する際に「he」「him」「she」「her」など性別限定の代名詞を使ってきたのに対し、ノンバイナリーの人については単数でも「they」「them」を使うという用法だ。

引用:米辞書の今年の言葉、ノンバイナリー示す「they」に決定 - BBCニュース

近年では「they」が辞書に載るほど定着しているのですが、ボーイ・ジョージはそういった「自分の代名詞を指定する」ことを「注目を集めるための新しいやり方」であると冷やかすツイートをしました。

 

その後、「メイクやまつ毛をつけるからトランスフォビア(トランスジェンダーを嫌悪していること)ではない」「間違いを犯したが常に『人々への敬意』は示している」と謝罪しています。

 

今回の序文でも「ほとんどのドラァグ・クイーンは女になりたいなんて思っちゃいない(原文ママ」と言っていましたが、ドラァグ・クイーンにはゲイ男性だけでなく、シスジェンダー*2女性や、トランスジェンダー女性、そしてノンバイナリーを自認する方もいるわけで…それを軽視する発言はちょっと自分には引っかかった部分でしたね。

 

精神科医に依頼するよりは遥かに適任ではありますが、上記の発言もありますし、"全ドラァグ・クイーンを代表しての序文"と受け取ってしまうと危険だなと思います。内容も主観的な自分の思い出話が多く、あくまでボーイ・ジョージの視点で語った「WHY DRAG?」なのだと私は解釈しました。(もし彼のファンの方がいたら申し訳ないです。)

 

ただ、序文の中で触れていた「イギリスはドラァグ・クイーンの国」という意味を暗に込めたグラミー賞のスピーチは面白いなと思いました。このスピーチは80年代当時の米英の音楽シーン、LGBTQコミュニティの状況の違いを切り取ったものだなと感じたからです。

 

イギリスはデヴィッド・ボウイT-REXなどの中性的なメイク・衣装が特徴であるグラム・ロックが発祥した地。

その後もエイズが流行りゲイへの差別が激しかった80年代でさえ、メイクや異性装を行うニュー・ウェーブ、ニューロマンティックがブームとなっていたというのは特筆すべきことだと思います。*3 

 ちなみに、彼がTVで見て育ったというダニー・ラ・ルーはこんな方。大英勲章第4位(OBE)を授与されているという伝説的なクイーンですが、2009年5月に亡くなっています。

女装のエンターテイナー、ダニー・ラ・ルーさんが死去 - ロイター

英語版との違いは?

帯の推薦文はモデル・女優の水原希子さん。自身のハロウィンイベントでヴァイオレット・チャチキをゲストとして呼んだり、ドラァグ・ファンとして知られている方です。

 

また、後書きには日本版オリジナル解説として、日本のドラァグ・クイーンであるエスムラルダさんが寄稿されています。「最近RPDRでドラァグを知ったよ」という方には是非、読んで欲しい内容になっているなと思いました。

 

UKやタイのドラァグ・レースを観れば分かる通り、国それぞれによってLGBTQコミュニティやドラァグの歴史は異なっています。

また、この本を読んで分かる通り、色んなタイプのクイーンがいますし、その目指すもの、表現しているものは多種多様です。だから、本来なら順位はつけられないものなのかもしれません。

 

掲載クイーン一覧

太字=RPDR出演クイーン

赤字=Dragula出演クイーン

もし見落としがあればご指摘いただければと思います…

 

アドレ・デラノ
マデリン・ハッター
ナオミ・スモールズ
ビアンカ・デル・リオ
コートニー・アクト
エピファニー・ゲット・ペイド
エイプリル・キャリオン
ルビー・ルー
ミスティ・ミーナー
モカ・ライト
ニナ・ウェスト
アラスカ・サンダーファック
メイヘム・ミラー
マニラ・ルゾン
ボブ・ザ・ドラァグ・クイーン
ジャッキー・ビート
レディ・バニー
カサンドラ・ムーア
ミスティ・ヴァイオレット
ケイク・モス
モネー・X・チェインジ
メリッサ・ビフィアス
タラ・ミソ・ライス
ペパーミント
シェリー・ヴァイン
チ・チ・ラルー
ドゥルセ・デ・レチェ
ダスティ・O
ロンドン・アドゥール
ソージー・ソー
ミルク
スキム
タミー・ブラウン
スヴェトラーナ・ストーリ
デルタ・ワーク
シャロン・ニードルズ
ミス・フェイム
ラジャ
マスー・アンダーソン
ジェイソン・ウィンバリー
キザ・カー
パール
ジョニー・ロキット
ジェム・ジェホヴァー
ポーセリン
リッジ・ギャラガ
ブーレット・ブラザーズ
ライアン・バーク
サル-E
ジョジョ・ベイビー
リア・リトレ
サポジトリ・スペリング
アルージア
アイヴィ・ウィンターズ
シスター・フローラ・グッドザイム
シスター・ティリー・カムズ・アゲイン
シスター・メアリ・ティモシー・シンプリシティ
シスター・フィリス・ウィゼ=リタデイ
シスター・ローマ
グレイス・タワーズ
グラマモア
ジュアニタ・モア!
マーサ・T・リプトン
スカーレット・レターズ
ピーチズ・クライスト
ヘクリナ
リル’ミス・ホット・メス
ジミー・スプリンクルズ
ファティマ・ルード
レディ・ベア
ル・ガトー・ショコラ
マザ・チャッカ
ポルシェ・ピンク
ラヤ・ライト
アボミナトリクス
ヴァイオレット・チャチキ
ブリジット・ビデ
ハイディ・グリュム
アナオル
ペイジ・ターナー
トリクシー・マテル
レクシ・トーマス
カリーム・マクジャガー
エリザベス・ジェイムズ
ディトックス
ヴィッキー・ヴォックス
ウィラム・ベリ
ショクラ
アンナ・レクシア
TPローズ
ユファ・ハマサキ
シッシー・スパスティク
ジョディ・ハーシュ
マ・ブッチャー
ジョニー・ウー
ジョン・シズル
メス
ダリアン・レイク
ジンクス・モンスーン
ディグナ・シェイ
エイジア・パースエイジア
リー・ポリタン
カラ・スシア
キムチチ・シャムラン・カー
ジグリー・カリエンテ・ブルックス
MS.チェン
ジャカルタ・ジェム・ジャヤ
メイ・ロダ=ブライド
ウィルヘルミナ・キャヴィア
ラッキー・マディソン
マハリア・ナキタ
ティア・ワナ
アニャ・ナッツ
クレイソン・セント・ジェイムズ
ビンクス・マル
マー・ジョング
ロキシーブルックス
ブルック・リン・ハイツ
ケネディ・ダヴェンポート
ジェンナ・スカイイ
カレクシス・ダヴェンポート
ジンジャー・ミンジ
ファラ・モーン
シンシア・リー・フォンテーヌ
セロトニン
ココ・デ’ ボール
エレイン・ランカスター
キャスリン・ネヴェッツ
プース・クートゥア
メリ・マジック
マタイナ・アハ=ヴィ=ジュス
ヴァニティ・フェア

 

番組には出演していませんが、シェリー・ヴァインチ・チ・ラルーなどすでに名の知られているベテラン勢も登場。気になったクイーンはSNSなどをチェックしてみては?

 

 

どこで購入できる?

 EAGLE TOKYO BLUE

新宿二丁目のゲイバー「EAGLE TOKYO BLUE」にも置いているそうです。ドラァグ・レース放送期間は「ドラァグマニア」というビューイング・イベントなども行っているそうなので、参加がてら購入してみては。 

EAGLE TOKYO GROUP | Shinjuku, Tokyo | The biggest gay bar group in Japan

楽天市場・アマゾンなど

楽天ブックス

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WHY DRAG? [ マグナス・ヘイスティングス ]
価格:2640円(税込、送料無料) (2020/2/27時点)

楽天で購入

 

 Amazon

 

AmazonKindle版)

 

 

Kindle英語版

 

比較的一番安価なのがこちらのKindle英語版だと思います。ただ、日本語版を購入することで、今後も日本でこういった写真集の発売を後押しすることにはなると思いますので、私は日本語版の購入をおすすめしております…!

 

オンライン書店での取扱いは下記リンクからご確認ください。

www.kokusho.co.jp

各書店

 ビニ本になっているんですね!確かにほぼヌードな写真もあったので納得です。

 

フライヤーがある

 公式で制作したフライヤーの配布を行っているそうなので(現在も行っているかは不明*4、購入を迷っている方は問い合わせてみても良いかもしれません。

 

 

入門書としておすすめしたい

最近、ル・ポールのドラァグレースでドラァグに興味を持った方には、入門書としておすすめしたい写真集でした。

 

また、長くドラァグ・ファンでいる方にも、「なぜドラァグをやるのか?」という質問に対する答えは非常に読みごたえのあるものだと思います。シンプルかつ難解なこの質問は、ドラァグというアートに新たな見方を与え、違う魅力の発見にも繋がると思います。

 

固いシメになってしまいましたが、つまり私は「買って良かったな」と思っているということです…!

 

>>その他のル・ポールのドラァグレース関連記事はこちら 

*1:それを踏まえてエスムラルダさんの後書き解説を読むと、より理解が深まるかもしれません。

*2:生まれた性も性自認も女性の人

*3:※一方、80年代のアメリカでは、グラム・ロックに影響を受けて発祥したグラム・メタルが流行りました。しかし、メイクや中性的な派手な衣装を着てはいても男らしさを前面に押し出し、時にはホモフォビックな一面すらあります…(この話は長くなります!が、私はグラム・メタルも好きです…)

*4:公式から2020年2月28日現在、まだフライヤーの配布は行っているとお知らせいただきました。